今の株式市場が「割高」を示す4つの指標
「新NISAの1,800万円枠、早く埋めないと損する」「みんな5年で使い切っているらしい」——こんな話を聞いて焦っていませんか。でも、焦って5年で使い切る必要はありません。特に投資を始めたばかりの方が毎月30万円ペースで一気に投じるのは、慎重に考えたい選択です。
なぜ急がなくてよいのか。理由はシンプルで、今の株式市場が割高な水準にあるからです。代表的な4つの指標を見てみましょう。
- バフェット指標:約217%。GDP(国の1年の稼ぎ)に対して株式の時価総額が2倍以上。適正の目安とされる100%前後を大きく上回っています。
- シラーPER:約38〜39倍。過去10年の利益平均で計算する指標で、歴史的に見て非常に高い水準です。
- 株式リスクプレミアム:ほぼ0%。株式を持つ見返りが、安全とされる米国債の利回りと大きく変わらない状態です。
- 円安という重し:ドル円140円台後半。同じ海外資産を買うのに、数年前より割高になっています。
これらは「相場が必ず下がる」という意味ではありませんが、今は高値圏にあるという事実は知っておきたいところです。
下落時に買い増せる余力を残す威力
では、どうすればよいのか。答えは相場が下がったときに買い増せる余力を残しておくことです。過去のデータでも、大きく下落した後のリターンは高い傾向が見られます。
ある運用会社の検証では、1950年以降に2ヶ月で15%以上下落した後の平均リターンは、3ヶ月後で約+10%(9割の確率でプラス)、12ヶ月後で約+26%(約88%の確率でプラス)でした。あくまで過去の実績であり、将来を保証するものではありません。
買い増しの考え方(ルールを決めておく)
- トリガーを決める:高値から20%下落で1ヶ月分追加、30%下落でさらに1ヶ月分追加 など
- 生活防衛資金とは別に「買い増し枠」の現金を準備しておく
- 対象は指数連動のインデックスファンド(特定の個別銘柄に集中させない)
- 一度に全額ではなく、2〜3回に分けて投入する
大切なのは、感情ではなくあらかじめ決めたルールで淡々と動くことです。
余力を残すと差が生まれる理由
具体的なシミュレーションで見てみましょう。10年間で合計1,000万円を投じるケースです(年率や下落のタイミングは仮定であり、結果を保証するものではありません)。
2つのプランの比較(想定)
- プランA:毎月8.3万円を淡々と積立(下落時の対応なし)→ 10年後 約1,500万円
- プランB:毎月5万円積立+下落時に追加(通常600万円+下落時400万円)→ 10年後 約1,800万円
差額は約300万円。老後の生活の質を左右しうる金額です。
過去の大きな下落と、その後の回復も振り返っておきましょう。リーマンショック(2008年・最大下落 約-56%)は回復まで約4年、コロナショック(2020年・約-34%)は約5ヶ月、ドットコム調整(2000年・約-49%)は約7年。いずれも、底値からの1年後リターンは大きくプラスになっています(S&P500の最安値を起点とした概算)。下落は、長期投資家にとって買い増しの機会にもなり得るのです。
本記事は市場の状況や一般的な考え方の解説であり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨するものではありません。投資の判断はご自身の状況に合わせておこなってください。
まとめ
焦らず戦略的に進める3つの要点
- 枠を5年で埋めること自体を目的にしない
4つの指標がそろって割高を示す今は、一気に投じるより慎重に。 - 下落時に買い増せる余力を残す
ルールを決め、指数連動のインデックスに分割で投入。 - 大切なのは予測ではなく準備
どんな相場でも対応できる現金と計画を用意しておく。
未来を当てる必要はありません。どんな状況になっても大丈夫なように準備しておくこと——これが落ち着いた投資家の考え方です。お金を焦って追いかけず、冷静に、計画的に進めていきましょう。それではまた。
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