ぶっちゃけ債券は難しい——でも「借用書」と思えば話は単純
最初に断っておきます。債券投資ははっきり言って難しいです。株式だったら「株価が上がれば利益、下がれば損失」とシンプルですよね。でも債券は「債券価格が上がった?下がった?利回りはどうなった?」と、初心者が足を踏み入れた瞬間、専門用語のジャングルに迷い込んでしまいます。
なぜ債券の情報は少ないのか
債券投資が難しい理由の一つは、圧倒的に情報が少ないことです。テレビでは「今日のNYダウは○○ドル高」とエリートアナリストが毎日解説するのに、「米10年債利回りが4.2%に上昇」と言っただけでニュースキャスターはそそくさと次の話題へ。「で?それがどうしたの?」と突っ込みたくなりますよね。
情報がないから勉強できない、勉強できないから分からない、分からないから怖い、だから手を出さない——この負のループが多くの個人投資家を債券から遠ざけています。
債券は「借用書」——難しく考えなくていい
債券を一言で言うと借用書です。債券を買うということは、あなたが誰かにお金を貸すということ。あなたが銀行になるイメージです。トヨタが新工場を作りたい、でも現金が足りない。だから投資家からお金を借りてお礼に利息を払う——これがわかれば債券の基本は押さえたも同然です。
国も同じです。税収より歳出が多い火の車状態だから、「お金貸してください、ちゃんと利息つけて返しますから」と発行するのが国債という借用書。僕たちが国債を買うということは、国に「おい、金貸してやるよ」とお金を貸してあげること。その利息こそが債券投資家の利益——インカムゲインになるわけです。
格付け(S&Pやムーディーズの通知表)で信用力を判別するのが債券投資の基本動作ですが、リーマンショックのようにAA格でも破綻した例もあります。格付けは参考にしつつ、盲信は禁物です。
日本の個人は債券をほとんど持っていない
2023年末時点で日本の個人金融資産は約2000兆円以上。そのうち株式や投資信託は200兆円以上ありますが、債券はそれに比べてごく一部にとどまっています。2026年5月末現在、日本の10年債利回りは2.7%程度。だいぶ上がってきましたが、それでも税引き後でこの先インフレに勝つのは難しいと思います。しかも個人が個別の国債(米国債など)を買おうとすると新NISAの対象外で、特定口座での約20%課税になります。そういう意味でも債券投資は奥が深く、正しく理解することが重要です。
機関投資家はなぜ債券を買うのか——守りの資産としての本質
債券市場は世界全体で見ると兆円単位のお金が動く巨大市場です。主役は中央銀行、メガバンク、巨大保険会社、年金基金などの機関投資家たち。彼らはなぜ株ではなく債券を買うのでしょうか。
生命保険会社が債券を使う理由
生保は顧客から毎月保険料を預かっています。そのお金はいつか必ず支払わなければならない大切な資金です。全額をハイリスクなものに突っ込んで「暴落して半分になっちゃいました」なんてことになったら社会的責任が果たせません。だから資産の6〜8割を債券で運用し、「○年後に確実にこれだけのお金が返ってくる」という確実性を確保しているのです。
個人投資家にとっての債券の価値
これを個人投資家に置き換えると、債券はポートフォリオの守護神になってくれます。特に資産規模が大きくなってきた方や、リタイアが近い60代の方にとっては最強の味方です。
S&P500が30〜40%暴落するような地獄の相場でも、国債は満期まで持てば100%元本が返ってきます。しかもその間ずっと利息を受け取り続けられる。「株は半値になったけど、債券からはチャリンチャリンとお金が入ってくる」——この安心感があるからこそ、狼狽売りせずに相場に留まり続けられるのです。
日本の年金を運用するGPIFはポートフォリオの約50%を債券で持っています。国民の大切な年金を守るプロが半分を債券にしている事実が、債券の守り力を物語っています。
2026年なぜ債券を買うのか——具体的な銘柄と買い方の2パターン
2026年に債券を買う最大の理由——それはリスクヘッジのためです。アメリカの経済、日本の金利、為替、全てが転換点を迎える可能性がある年に、株式100%のポートフォリオは裸で戦場に突っ込むようなものです。
パターン1:生債券(個別の国債)を買う
まず1つ目は生債券(個別の国債)を買うパターン。これは新NISAの満額(1800万円)を埋めることが確実で、それでもまだ現金が余っているような方向け——あるいは近い将来必ず使うお金を守りたい人向けです。
生債券が向いているケース
日本の10年国債利回りは約2.7%まで上昇、インフレ率は足元で2%を切ってますが、今後3%ぐらいになる可能性は十分あると考えています。米国債(10年物)なら約4.5%前後。為替リスクはありますが、ドル建て年利4%台の確定利回りは「現金のアップグレード版」として持つには十分な魅力です。
パターン2:債券ファンド(ETF・投資信託)を買う
こっちが本命です。個別の国債を買うのと債券ファンドを買うのは、全くの別物と考えてください。個別の国債は満期まで持てば元本保証ですが、債券ファンドには満期がありません。価格は常に変動します。
- 株式とは違う値動きをする(分散効果が高い)
- 株式と同じように長期で持てばキャピタルゲインも狙える
EDV:知る人ぞ知るヤンチャな超長期国債ETF
僕が2026年に買い増しを狙っているのは米国の超長期国債ETF「EDV」です。理由は2つ。まず分配金利回りが4.8%前後と高いこと。そしてもう1つが重要で、金利低下時の価格上昇力が半端ないことです。
債券の価格と金利はシーソーの関係。金利が下がれば債券価格は上がる。特にEDVのような超長期債は金利の動きに対して敏感に反応します。もしFRBが利下げに踏み切ったら?EDVの価格はロケットのように跳ね上がる可能性があります。インカムゲインを取りながら、あわよくばキャピタルゲインも狙える——攻めと守りを兼ね備えたアセットです。しかもETFは新NISAの成長投資枠で買えるので非課税で配当をもらい続けられます。
EDVのリスクを正直に言います
EDVは値動きがめちゃくちゃ激しいです。「債券だから安全でしょ」なんて軽い気持ちで買うと大火傷します。2020年のコロナショック以降の利上げ局面では価格が60%以上暴落しました。これはあくまでスパイス、ポートフォリオの主役ではありません。
AGG・BND:マイルドに守りたい方へ
「そんな激しいETFは嫌だ」という方には、AGGやBNDといった総合債券ファンドをおすすめします。国債だけでなく格付けの高い社債もバランスよくパッケージされた「債券の幕の内弁当」です。EDVほど激しくは動きませんが、しっかりと分散効果を発揮してくれます。
債券の使い分け まとめ
どうしても減らしたくない、使う予定のあるお金
→ 個別の国債(生債券)
株式の暴落に備えつつ長期で資産を増やしたい場合
→ 債券ファンド(EDVやAGG・BND)
米国債のリスクも正直に話します——日本金利上昇シナリオの現実
ここまで米国債いいよという話をしてきましたが、当然リスクもあります。最も懸念されるのが日本国債の金利上昇から来るシナリオです。
レパトリエーションという逆風
日本の金利が上がると何が起きるか?日本国債の魅力が増し、「為替リスクのない日本国債で良くない?」と考える機関投資家が増えてきます。特に生保や銀行は、これまで国内に運用先がないから仕方なく海外(米国債など)にお金を逃していました。
そこで起きるのがレパトリエーション(資金還流)——海外資産を売って日本にお金を戻す動きです。米国債を大量に売られると価格が下がる、つまりEDVやAGGの価格が下落する可能性があります。
政治的な歯止めという現実
ただ僕の個人的な見解としては、そこまで極端なことにはならないと思っています。米国債市場のメインプレイヤーは日本の保険会社だけではありません。同盟国アメリカを敵に回すような米国債の投げ売りは政治的にも難しいでしょう。
日本国債への資金シフトで米国債が下落するリスクは、シナリオの一つとして頭に入れておくべきですが、過度に恐れて投資を止めるほどではないというのが僕の結論です。リスクの正体を正しく理解していれば、恐れる必要はありません。
まとめ:2026年の荒波を乗り越えるための生存戦略
2026年、債券を買う4つの結論
- 株式市場の不確実性に備えてポートフォリオの守りを固める
2026年は米国経済・日本金利・為替が全て転換点。株式一本足打法では荒波を乗り越えられない。 - 債券は借用書——国や企業にお金を貸して利息をもらう仕組み
格付けで信用力を判別するのが基本。盲信は禁物だが、仕組みを理解すれば怖くない。 - 買い方は2パターン
近い将来使う現金の避難先なら個別の国債(生債券)、長期投資のリスクヘッジなら債券ファンド(EDVやAGG・BND)。 - 日本金利上昇による米国債逆風リスクは過度に恐れる必要なし
政治的歯止めと多様なプレイヤーの存在から、極端なシナリオにはなりにくい。リスクの正体を正しく理解して冷静に対処。
2026年、何が起こるか誰にも分かりません。だからこそ準備をした人だけが生き残れます。今日の話があなたのポートフォリオを見直すきっかけになれば幸いです。
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今日お伝えしたのは一般論です。あなたの年齢・資産規模・リスク許容度・投資目的によって、最適な債券比率や銘柄選びはまったく変わります。「自分はどれくらい債券を持てばいいの?」そんなお悩みにFPりょうがお答えします。
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