残高は今の場所、収支は一年の変化
日本FP協会は、現在の収支を整理し、将来の予定をライフイベント表に書き、その数字をキャッシュフロー表へ転記する流れを案内しています。現在の資産を見る表と、年ごとの収入・支出を見る表は役割が違います。[1]
道順の地図と、出発地点の写真を比べてみましょう。貯蓄残高は今いる場所、年間収支は次の一年で進む距離にあたります。写真だけでは次の分かれ道が分からないように、今の残高だけでは予定した支出の後にいくら残るかは分かりません。年ごとにつなぐことで、立ち止まって確認したい年が見えてきます。
ただし人生のお金は一本の決まった道ではありません。収入・支出・物価・運用結果は変わります。表の残高は前提に基づく見通しであり、将来の預金額や資産寿命を保証する数字ではありません。
通常は60万円の黒字でも、買替えの年は60万円の赤字
仮定例は2027年と2028年の二年間、金額の単位を万円とします。2027年の年初貯蓄が500、手取り収入が360、通常の支出が300、車の買替えによる一時支出が120。運用損益や物価変動をゼロとすると、支出合計は420、年間収支は360−420=−60、年末貯蓄は500−60=440です。
車の買替えを除けば360−300=60万円の黒字です。しかし、その60万円だけを貯蓄へ足すと、一時支出を見落とします。一時支出を含めた年間収支を使うことで、年末440万円という同じ結果へつながります。毎月の家計簿と将来予定を合わせる理由は、ここにあるんですね。
翌2028年は年初440万円、手取り360万円、通常支出300万円、一時支出なしという同じ前提なら、収支は+60万円、年末500万円です。前年末を翌年初へそのまま引き継ぎます。二年間で元の残高に戻るという仮定例で、実際の収入・買替額や運用成果を表していません。
一時支出を二度引かないために、表の欄をたどる
確認する行の模式図
日本FP協会PDFの実際の書式ではなく、項目の関係を整理した模式図です。
日本FP協会の記入用PDFには、収入合計、支出合計、年間収支、貯蓄残高の欄が並び、一時的な支出も支出欄に含まれます。収支の計算へすでに含めた一時支出を、残高からもう一度引くと二重控除になります。[2]
公式ページの「家計のキャッシュフロー表」のPDF版を開き、一時的な支出の行と支出合計の行を確認します。自分のメモでは「通常支出300+一時支出120=合計420」と書き、次に「収入360−合計420=収支−60」、最後に「年初500+収支−60=年末440」とつなぎます。これらは説明用のメモで、PDFの正式な欄を追加する操作ではありません。
確認を終える際は、前年末と翌年初が一致すること、一時支出が支出合計へ一度だけ入っていることを照合します。赤字の記号が逆になっていないか、万円と円を混ぜていないかも同じ時に確かめましょう。
前提を残し、予定が変わったら見直す
J-FLECは、目指す暮らしに必要な費用を洗い出し、収入・支出をキャッシュフロー表へ入れて見通しを確認する考え方を紹介しています。数字を埋めることが目的ではなく、使いたい時期と用意できる金額を話し合う材料にするためです。[3]
今回の記入用PDFは分かりやすさのため変動率ゼロですが、本来は物価上昇や運用利回りを考慮すると注記されています。仮定を省略して長期の正確な予測と呼ばず、購入予定や働き方が変われば収支と残高を更新します。[2]
今日できるのは、手取りの年間収入と通常支出を一枚に集め、今後二年に予定する一時支出を年ごとに一つずつ書くことです。その年の支出合計に含めて残高を繰り越し、金額が未確認の項目には「要確認」と残しましょう。最初の二年を確認したら、予定が変わる年まで表を延ばしてください。
よくある質問
預金から投資へ移した金額は、生活費と同じ支出ですか?
家計の消費による支出と、資産の置き場所を移す取引は区別して整理します。預金だけの残高か金融資産全体かを先に決め、投資への移動を生活費と資産減少へ重ねて計上しないよう確認してください。
