今の月額が、これからも続くとは限らない
国土交通省は、修繕工事費や内容は物価変動などで変わるため、長期修繕計画を5年程度で見直し、適切な積立額を見直す必要性を説明しています。今の請求額だけで数十年の家計を固定しない理由は、ここにあります。[1]
一方、他のマンションの平均額より低いから即不足、高いから不適切と判断することもできません。国土交通省のQ&Aは、建物の状況や個別の要因で必要額が変わり、ガイドラインの平均は目安だと説明しています。[2]
住戸の家計で先に確かめたいのは、全国平均との順位ではなく、自分の負担額がいついくら変わるかです。管理組合の長期修繕計画、積立金の徴収計画、総会議案と決議結果などの手元資料を並べます。
提案中の値上げと、決まった支払いを分ける
本人が作る確認用紙
管理組合の公式書式ではありません。資料で分からない項目は確認事項として残します。
資料を見るときは、現在の月額、変更予定月、変更後の月額、決定の状況を転記します。議案に載った数字を、すでに決議され請求される数字と取り違えないこと。ここで作る表は公式書式でなく、本人の確認メモです。
決議や適用時期が分からなければ、管理組合や管理会社へ確認したい項目として残します。まだ提案中なら「提案が実施された場合」の家計試算と、現状が続く試算を別に置きます。確定していない支払いを事実として書き込まないでください。
積立方式にも違いがあります。国土交通省の改定資料は、一定額を積み立てる均等積立方式と、段階的に額を増やす方式を取り上げています。現在の額だけでなく徴収計画全体を読む材料にし、将来の増額を勝手に補完しません。[3]
月6,000円の差を、5年間の支出に直す
架空例。2027年1月に月額1.2万円から1.8万円へ変更、5年間一定。他費用や物価変動は含みません。
ここからは架空の計算例です。2027年1月から月額1万2,000円が1万8,000円へ変わり、その後5年間は一定と仮定します。追加の一時金・管理費の変更・物価変動は含めず、実際のマンションの相場や必要額を示す数字ではありません。
月額差は1万8,000円−1万2,000円=6,000円。年の差額は6,000円×12か月=7万2,000円、2027〜2031年の5年間では7万2,000円×5年=36万円です。支払い総額は旧月額なら72万円、新月額なら108万円で、差は同じ36万円になります。
まず変わるのは支出です。運用で36万円増えるはず、と先に収入へ置かず、家計の余裕資金がどれだけ減るか確認しましょう。途中月の変更なら変更後の月数だけで計算し、5年以内に別の増額があれば期間を分けます。
| 期間 | 旧月額の支出 | 新月額の支出 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1年(12か月) | 14万4,000円 | 21万6,000円 | 7万2,000円 |
| 5年(60か月) | 72万円 | 108万円 | 36万円 |
共用部の積立と、自宅内の修理費は別に見る
修繕積立金を払っているから家の修理費は全部準備済み、とは決められません。どこまでが共用部分で、何が専有部分の負担かは、管理規約や設備の扱いを確認します。自宅内の設備の修理予定があれば、積立金の増額と別の家計項目へ置きます。
住宅金融支援機構の長期修繕ナビは、建物・工事・資金の情報から、管理組合の今後40年間の収支などを試算する道具です。個人の老後資金残高の計算とは対象が異なります。建物の計画を確認する材料として使い、家計表へ全体の工事費をそのまま本人負担額として入れないようにします。[4]
月々の引落しに管理費や駐車場代がまとまっている場合は、内訳を確かめます。この記事の36万円は修繕積立金の差額だけなので、その数字を住居費の総額と扱うことも避けたいところです。
5年表へ転記し、増額後も続けられる計画にする
今日の作業は、最新の徴収計画と決議結果を出し、現在額、変更月、変更後額、決定状況をメモへ転記することです。次に年ごとの住居費へ入れ、見直した家計収支から投資に回す額を考えます。
完了の目安は、メモの変更月と月額が確認した資料に一致し、対象月数を掛けた年額が家計表の住居費へ反映されていることです。資料に未決定の項目が残れば、確定支出と分けて表示し、管理組合・管理会社へ確認する質問として持っていきましょう。
増額で赤字になるなら、既存の支出や積立額、使う予定のあるお金を一緒に見直します。建物の工事や決議の問題は管理の窓口へ、本人の長期の収支は家計相談の窓口へ。相談先を分けると、何を確かめてもらうかが伝わりやすくなるんですね。
よくある質問
値上げ案が出ただけでも家計を変えるべきですか?
決定した支払いと提案が実施された場合の試算を分けてください。確認するのは決議の状況と適用月です。未決定の案を確定額として扱う必要はありません。
戸建てでも同じ月額を積み立てれば足りますか?
本記事の数字は架空のマンション負担例です。戸建てに当てはめず、建物の状態と見積り、修理予定から本人の支出計画を作ってください。全国一律の必要額を示すものではありません。
