上限は「1口座」ではなく「1人・1金融機関」
金融庁は、定期預金や利息の付く普通預金などの一般預金等について、預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算し、元本1,000万円までと破綻日までの利息等を保護すると説明しています。退職金という入金理由で別枠が生まれる説明ではありません。[1]
同じ銀行のA支店とB支店、普通預金と定期預金を別々の上限と扱わないでください。同一名義の対象預金を足すのが入口です。アプリや通帳が二つあっても、契約先の金融機関名を確認しましょう。[2]
反対に、家族全員の口座を一人の残高へまとめる計算でもありません。まず自分名義の預金をそろえます。名義変更や家族への送金を保護枠のために安易に行うのではなく、税務や資金の所有関係を別に確認してください。
退職金700万円と既存預金を足す具体例
すべて一般預金等・同一名義・同一銀行・特例なしの仮定。超過部分の支払いは破綻時の残余財産によります。
架空の例として、2026年10月にA銀行へ退職金の手取り700万円を定期預金に置き、同じ人がA銀行に利息付き普通預金400万円と別支店の定期預金200万円を持っていると仮定します。すべて一般預金等で、合併等の特例はないものとします。
計算は700+400+200=1,300万円です。一般預金等の元本1,000万円までの保護上限との差は1,300−1,000=300万円。退職金の定期預金だけを見て「700万円だから全額が通常の保護上限内」と判断すると、既存の600万円を見落とします。[1]
300万円がすぐ失われる、という意味ではありません。金融機関が破綻した場合、上限を超える部分は残余財産の状況に応じて支払われ、一部が支払われない可能性があるという制度です。計算結果は上限超過を把握する目安で、破綻の予測や損失額の予測ではありません。[1]
決済用預金と保護対象外の商品を混ぜない
決済用預金は全額保護されます。条件は無利息、要求払い、決済サービスを提供できる、の三つをすべて満たすことです。名称が普通預金だから全額保護されると決めず、該当する商品か金融機関へ確認します。[1][2]
一方、外貨預金や元本補てん契約のない金銭信託などは預金保険の対象外です。銀行で扱っている商品だから、円の定期預金と同じ保護範囲とは限りません。商品説明書の「預金保険」の欄を読んでください。[3]
全額保護の条件と、引出しや振込の手続きは別に確かめます。決済用預金へ切り替えることが誰にとっても最良とは限りません。利息が付かない条件、取扱い、変更後の口座種別を確認し、自分の支払い予定と合わせて判断するための資料にします。
通帳と商品説明書から、銀行別の一枚メモを作る
商品区分と金額
実際の銀行書式ではない模式図です。欄名と商品区分は利用銀行で確認します。
確認例として、自分名義の通帳または預金アプリの残高画面と、各商品の説明書を用意します。金融機関の正式名称、名義、商品名、元本残高、一般預金等・決済用預金・対象外の区分を一行ずつ転記します。口座番号や暗証番号を公開する必要はありません。
これから受け取る退職金は、入金予定額として既存残高と分けて書きます。税引前の通知額をそのまま入金額とせず、会社の支払通知等で手取りと振込先を確認します。実際の入金後に残高を更新し、予定と実績を混ぜないようにしましょう。
最終照合では、同一名義・同一金融機関の一般預金等の合計がメモと一致し、商品区分が説明書または銀行の回答で確認できたことを確かめます。不明な区分は推測で埋めず、確認待ちと書いて問い合わせます。
合併の特例と、置き先を変える前の確認
金融機関が合併等をした場合には、その後1年間に限り一般預金等の限度額へ関係金融機関数を乗じる特例があります。ずっと別の銀行扱いが続くわけではありません。合併前の通帳の銀行名だけで計算せず、適用期間と対象を金融機関へ確認してください。[2]
今日の作業は、自分名義の預金を銀行ごとに並べ、退職金の入金予定額を加えて一般預金等の合計を出すことです。上限との関係が気になるなら、商品区分、決済用預金の取扱い、資金移動時の手数料や振込限度額を銀行へ確認します。
確認のために退職金を急いで投資へ回す必要はありません。別の金融機関へ置く選択を考える場合も、同じ銀行の別支店ではないことと、生活費の引落し予定を照合します。金利、流動性、保護範囲はそれぞれ別の項目です。
よくある質問
1,000万円には利息も含めて数えますか?
一般預金等は元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護される説明です。本文の仮定例は元本を合算しています。実際の商品が対象か、元本と利息の内訳を銀行で確認してください。[1]
