保険に入る人と、保険料を払った人を分ける
国税庁は、自分または生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合、その支払額が社会保険料控除の対象になると説明しています。保険の名義だけを見るのではなく、誰が支払ったかを確認するのです。[1]
荷物の配送で、受取人と送料を払う人が違う場面を考えてみてください。送り先の名前だけでは、送料を負担した財布は分かりません。保険に入っている家族が受取人、保険料の支払者が送料を払う人に対応します。通知の名義だけで控除の帰属を決めないための例えです。
ただし、送料なら誰が払ってもよいという部分は当てはまりません。社会保険料控除には、自己または生計を一にする親族の保険料であることなどの条件があります。商品代や民間の生命保険料の控除まで、この説明をそのまま当てはめないでください。[1]
親の年金から引かれた分は、子が払った額にしない
実際の書類の様式ではありません
保険料の対象者だけで決めません。自己または生計を一にする親族の保険料等の条件を確認します。
家計として親を援助していても、親の公的年金から特別徴収された社会保険料は、親自身が支払ったものです。国税庁のQ&Aでは、年金から徴収された保険料の支払者は、その年金の受給者であると説明しています。[2]
後期高齢者医療の保険料を口座振替で払う場合は、口座の名義人が支払者です。被保険者本人、または被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族が口座振替で払う場合に、その支払者へ控除が適用されるという整理です。[2]
「家族の中で税率が高い人へ自由に移す」という話ではありません。年金から引かれた分と、自分の口座から払った分を分け、支払方法の記録から確認します。支払方法の変更には自治体等への手続きが関係するため、控除だけを見て変更を急がないようにしましょう。
12万円と6万円の仮定例で、二人の欄へ振り分ける
親子は1年間を通じて生計を一にする仮定。実際の保険料・還付額ではありません。
ここでは、1月から12月まで親と子が生計を一にし、子の名義の口座振替で親の後期高齢者医療保険料12万円を支払い、親の公的年金から介護保険料6万円が特別徴収されたと仮定します。金額は説明用で、実際の保険料や本人の事例ではありません。
この仮定では、子が支払った12万円は子の社会保険料控除の対象となり、親の年金から引かれた6万円は親が支払った額です。家族全体の支払いは12万円+6万円=18万円でも、子の控除額として18万円を足すことはできません。[1][2]
メモを「保険の対象者/保険料の種類/支払方法と名義/その年の支払額」に分けます。納付済額の案内、口座振替記録、年金からの徴収記録を対応させ、同じ支払いを二つの資料から重ねて足していないかも確かめましょう。
控除は所得から差し引く金額で、同額の税金が戻る制度ではありません。この例は支払者への振り分けを説明したもので、還付金や節税額の計算ではない点も押さえておきます。
別居なら対象外、同居なら必ず対象とも限らない
「生計を一にする」は、必ず同居していることを意味するわけではありません。国税庁は、勤務や修学、療養などで別居していても、常に生活費等の送金がある場合などを例に挙げています。一方、同居でも明らかに独立した生活なら別の扱いになります。[3]
家族の国民年金保険料を支払うケースでは、支払時点で生計を一にしていたかを確認することも、国税庁のQ&Aに示されています。年の途中で生活が別になった場合、年末に家族だからという理由だけで、一年分すべてをまとめないようにします。[2]
社会保険料控除と、扶養控除や健康保険の被扶養者の判定は別の制度です。今回の資料から扶養の可否まで一度に決めず、どの制度の何年分を確認しているかを窓口へ伝えてください。
申告前に、支払者と家族の記録を照合する
今日できることは、家族分の保険料を一行ずつ並べ、年金天引きか口座払いか、誰の名義かを資料で埋めることです。同じ保険料を本人と家族が重複して申告しないよう、申告する人もその行に書きます。
資料の年分・保険料の種類・支払方法・支払者・金額が一致し、家族間で同じ支払いの重複がないことを確認できたら、申告用メモの照合は完了です。不明な徴収額は自治体などの徴収元へ、控除の適用は勤務先の年末調整担当または税務署へ確認しましょう。
よくある質問
支払った国民年金保険料は、口座記録だけで年末調整できますか?
国民年金保険料や国民年金基金の掛金には、金額を証する書類等の添付・提示の取扱いがあります。口座記録だけで十分と決めず、勤務先や対象年分の公式案内で提出方法を確認してください。翌年以後に提出する確定申告の取扱いも年分で確認します。[1]
