まず結論:運用前に手取りの前提を確認する
国税庁は、退職所得とは退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいうと説明しています。[1]
退職所得の金額は、原則として『収入金額から退職所得控除額を差し引き、その2分の1』で計算します。[1] つまり、退職金の額面全体にそのまま税率をかけるものではありません。
50代・60代の方は、退職金が入ったらすぐ投資商品を選ぶより、まず勤続年数、控除額、申告書提出の有無を確認しましょう。手取りの前提が落ち着くと、投資に回せる金額も冷静に決めやすくなります。
- 確認1:退職金の支給額と支給予定日。
- 確認2:勤続年数と退職所得控除額。
- 確認3:退職所得の受給に関する申告書の提出状況。
退職所得控除は勤続年数で変わる
国税庁は、退職所得控除額について、勤続年数が20年以下の場合は40万円×勤続年数、80万円に満たない場合は80万円と説明しています。[1]
勤続年数が20年を超える場合は、800万円+70万円×勤続年数から20年を引いた年数で計算します。[1] また、勤続年数の端数は1年に切り上げる例も示されています。[1]
このため、同じ退職金額でも、勤続年数によって課税対象になる金額は変わります。会社からもらう資料と自分の勤務期間を照合し、端数の扱いも含めて確認しましょう。
| 勤続年数 | 控除額の考え方 | 確認メモ |
|---|---|---|
| 20年以下 | 40万円×勤続年数 | 最低80万円の扱いを確認 |
| 20年超 | 800万円+70万円×超過年数 | 20年を超えた年数を確認 |
| 端数あり | 端数は1年に切上げる例あり | 勤務期間の月数も確認 |
申告書を出しているかで源泉徴収が変わる
国税庁は、退職手当等の支給を受ける人が『退職所得の受給に関する申告書』を退職手当等の支払者に提出する手続きだと説明しています。[2]
この申告を行わない場合、退職手当等の金額について20.42%の税率による源泉徴収が行われることになると案内されています。[2]
退職前後は書類が多く、健康保険や年金の手続きも重なります。退職金の運用を考える前に、この申告書を会社へ出したか、控えや源泉徴収票を保管したかを確認しましょう。
一時金や複数回受け取りは別確認にする
国税庁は、確定拠出年金法に基づく老齢給付金として支給される一時金なども、退職所得とみなされる場合があると説明しています。[1]
また、前年以前に退職金を受け取ったことがある場合や、同一年中に2か所以上から退職金を受け取る場合などは、控除額の計算が異なることがあるとされています。[1]
『会社の退職金だけ』なのか、『iDeCoや企業年金の一時金もある』のかで確認ポイントが変わります。複数の受け取りがある人は、同じメモにまとめて専門窓口へ確認しましょう。
税金確認が終わってから、投資資金を分ける
退職金は大きなお金なので、運用を急ぎたくなる気持ちは自然です。ただ、額面、税金、社会保険、生活費を分けずに投資額を決めると、後から資金を戻すことになりやすいです。
まずは退職所得控除と申告書、源泉徴収票、手取り予定額を確認する。そのうえで、生活費、近い将来の支出、投資に回すお金を分ける。この順番なら、退職金を焦って動かさずに済みます。
よくある質問
退職金は給与と同じように課税されますか?
退職所得は原則として他の所得と分離して税額を計算します。国税庁は、退職所得の金額を『収入金額から退職所得控除額を差し引き、その2分の1』で計算すると説明しています。[1]
退職所得控除は何で決まりますか?
主に勤続年数で変わります。国税庁は、20年以下は40万円×勤続年数、20年超は800万円+70万円×20年を超える年数と説明しています。[1]
退職所得の受給に関する申告書を出さないとどうなりますか?
国税庁は、この申告を行わない場合、その退職手当等の金額について20.42%の税率で源泉徴収が行われると案内しています。[2]
