港に残る荷物だけ数えると、出ていった分を見落とす
港の荷物を思い浮かべてください。今、岸に残っている荷物だけ見て「最初より減った」と言っても、すでに船で届けた荷物があれば、それは消えたわけではありません。投資でも、今の評価額が岸に残る荷物、売却して受け取ったお金や分配金が出ていった荷物、買付金額が運び込んだ荷物に対応します。
ただし、荷物の個数と違って投信の評価額は値動きで変わります。この例えが示すのは記録の集め方であって、将来の利益や元本の保全ではありません。
SBI証券のFAQでは、全期間のトータルリターンは「現在の評価金額+累計売却金額+累計分配金額(税引後)−累計買付金額」と説明されています。買付金額は税込の買付手数料を含みます。今持っている分だけの数字から、投資の途中経過も含む数字へ視野を広げるわけです。[1]
80万円しか残っていなくても、全体では10万円のプラス
仮に、2010年以降にSBI証券で買い始めた1本の投信を、最初の買付から今回の算出基準日までの全期間で見るとします。他社からの移管や口座間の払出しはなく、分配金はすべて現金受取。買付金額の合計100万円は手数料込み、売却金額25万円と分配金5万円は画面に表示された累計額と仮定します。本人の運用実績ではありません。
算出基準日の評価額が80万円なら、80万円+25万円+5万円−100万円=10万円です。「残高80万円」と「累計買付100万円」だけを引くと20万円のマイナスに見えますが、その計算では既に受け取った30万円を落としています。全期間の損益を読むには、四つを同じ範囲で集める必要があるんですね。[1]
この10万円が、今日引き出せる現金10万円という意味でも、確定申告の課税所得10万円という意味でもありません。まだ売っていない投信の評価額を含むためです。
| 全期間でそろえる項目 | 仮定の金額 |
|---|---|
| 現在の評価金額 | 80万円 |
| 累計売却金額 | 25万円 |
| 累計分配金額(税引後) | 5万円 |
| 累計買付金額(手数料込み) | 100万円 |
| トータルリターン | 10万円のプラス |
スマホでは「+」から入り、期間・銘柄・金額を照合
SBI証券のスマートフォン用「投資信託 取引」サイトの公式ガイドでは、「+」→「口座管理」→「トータルリターン」と進みます。今回は「銘柄一覧」で対象期間を全期間にし、確認したい銘柄・預り区分・保有状況をそろえて読みます。別アプリに同じ入口があるという説明ではありません。[2]
まずは1本で十分です。評価金額、売却金額、分配金額、買付金額をメモし、画面のトータルリターンと照合します。同じファンドでも預り区分が異なると別の行になるため、NISAと特定口座の数字を途中で混ぜないようにします。[2]
確認の終わりには、対象期間が全期間、銘柄と預り区分が目的どおり、四項目と画面の損益金額が一致していることを見直します。違いがあれば「取引履歴」で買付・売却・分配金の記録を読むところまで進め、理由が分からない金額を自己判断で書き換えないでください。[2]
一部売却があるときほど、このひと手間が効きます。「評価額が減った」という印象を、日付のある記録へ置き換えられるからです。
再投資・移管・税金は、そのまま足し引きしない
分配金を再投資した場合、その金額は分配金額と買付金額の両方に計上されます。画面から集めた四項目へ、自分で再投資額をもう一度足すと二重に数えてしまいます。先ほどの例は現金受取だけの仮定でした。[2]
また、他社から移管した投信などでは、買付金額に入庫日時点の評価額が仮登録される場合があります。その場合は「自分が昔払った金額」と画面の買付金額が一致する前提を置けません。資料を確認せず入庫編集を行うのではなく、元の記録と公式説明で計算範囲を確かめます。[2]
対象は主に国内籍の公募株式投信で、ETFや上場REITなど対象外の商品もあります。トータルリターンの表示額は確定申告などの税額計算には使えません。申告用の数字が必要なら年間取引報告書など、目的に合う書類で別に確認します。[2]
今日やることは、1本の投信について「全期間・銘柄・預り区分・算出日・四項目・損益金額」のメモを作ることです。画面と合ったら確認完了。合わない場合は、取引履歴と入庫の有無を確かめ、解決しなければSBI証券に表示の根拠を問い合わせましょう。
よくある質問
今日売った投信の金額が、まだ見当たらないのはなぜ?
公式ガイドでは、新たな買付・売却は約定日の翌営業日に反映されます。注文日と約定日を取り違えていないか、画面の算出日と履歴を確認してください。反映予定を過ぎても分からなければSBI証券へ確認します。[2]
