先に売っても、計算では買付を先に合わせる
特定口座で同じ日に同じ銘柄を売買した場合、実際の順序にかかわらず買付が先とみなされます。前日までの取得価額と当日の全買付を平均し、その日の最後に売却したものとして譲渡損益を計算します。SBI証券は取引終了後の夜間処理で取得単価を再計算すると案内しています。[1]
リンゴを仕入れる木箱を想像してみましょう。昨日の仕入れ分と今日の仕入れ分を同じ箱へ合わせ、合計の仕入額を個数で割ると、一個あたりの平均が出ます。株式では仕入額が取得価額、個数が株数に対応します。同日売買の計算では、実際には先に売っていても、計算用の箱には今日の買付分を先に合わせる、というイメージです。
ただしリンゴの在庫管理と株式の税務は同じではありません。ここで説明するのは特定口座で同一銘柄を同じ日に売買した場合の計算で、異なる銘柄やNISAへそのまま当てはめる例えではありません。
100株の例で、利益2万円と1万5千円の違いを見る
手数料等ゼロの仮定例。実際の売買順と計算上の順序は異なります。
仮定として、前日から取得単価1,000円の株を100株保有し、今日1,200円で100株を売った後、1,100円で100株を買い直したとします。手数料等をゼロとして、取得価額は10万円+11万円=21万円、平均する株数は100株+100株=200株。取得単価は21万円÷200株=1,050円です。
譲渡価額は1,200円×100株=12万円。計算に使う取得価額は1,050円×100株=10万5千円なので、当日の譲渡損益は1万5千円です。前日の取得単価だけで計算した2万円とは5千円違います。これは仕組みを理解するための例で、売買を推奨したり実際の税額を示したりするものではありません。
買い直して残った100株の取得単価も、この仮定では1,050円になります。売った株の利益だけを確定させたつもりでも、同日買付が計算へ入るんですね。実際の計算には手数料等が含まれ、端数処理もあるため、仮定例と画面の金額を無条件に一致させません。[1][2]
画面の取得単価と、約定価格を混同しない
SBI証券の特定預り・NISA預りは取得単価、一般預りは参考単価という表示です。国内株式の取得単価には買付手数料を含む移動平均価格が使われます。画面の取得単価が注文の約定価格と違っても、約定価格や受渡金額がその数字へ変更されたわけではありません。[3]
口座管理の保有証券一覧は、銘柄・保有株数・取得単価を確認する場所です。同じ銘柄でも預り区分が違えば、別の記録として読んでください。売却済みの取引を保有一覧だけで追わず、当日の取引記録も一緒に用意します。[4]
照合を終える際は、夜間の再計算後の取得単価と残株数を読み、同じ約定日の買付・売却数量に対応するか確認します。昼の途中表示だけを確定値として保存しないことが、記録の取り違えを減らします。[1]
「得をしたか」と「税の計算」を分けて質問する
同日売買の計算は、売買の値動きや注文順を消すものではありません。現金がいくら動いたかと、特定口座で売却分の取得価額をどう配分するかは、確認する問いが違います。単価が変わっただけで利益が増えた、減税になったと判断しないでください。
今日の確認は、同じ銘柄について「前日までの取得単価と株数/当日の買付価格と株数/当日の売却価格と株数」を分けて書くことです。処理後の取得単価と譲渡損益を照合し、説明がつかなければ約定日と銘柄コードを用意してSBI証券へ問い合わせましょう。
よくある質問
外国株式にもこの100株の式だけを使えますか?
外国株式には円換算の条件など追加の確認が必要です。本稿は国内株式の同日売買の説明です。商品に対応する公式の取得単価案内と約定記録を使ってください。
