売却ではなく、保管先を変える手続き
移管出庫は、保有する国内上場株式などを、保管振替機構を通じて別の証券会社へ移す手続きです。移したい証券会社で口座を開設し、その会社が銘柄や預り区分を受け入れられることを先に確認します。家族名義への贈与や相続、外国株や投資信託の移管は、ここで説明する同一名義の国内現物株とは手続きが異なります。[1]
工房の棚に置いた器を、別の棚へ移す場面を思い浮かべてください。器を売って買い直すのではなく、同じ器の置き場所を変えます。器が銘柄と株数、棚が証券会社の保管先です。運び出した棚が空でも、新しい棚へ届いた確認が済むまでは、引っ越し完了ではありません。
もちろん株式は実物の器ではなく、預り区分や受入条件に従って記録を移します。移管中も株価は変動しますし、NISAの非課税扱いまで別の棚へそのまま運べるわけではありません。例えで分かるのは、売却と保管先の変更が別であること、送り先で確認が必要なことです。
特定預りは銘柄ごとに全株、NISAは直接出庫できない
同一名義の国内現物株の模式図。NISAの非課税扱いを保って他社へ直接移す説明ではありません。
特定預りの国内株は、移管先にも特定口座が必要です。同じ銘柄の一部だけを移すことはできず、その特定預りの全株数を移します。一般預りは一般口座への移管となり、移管先に特定口座があるだけで特定預りに変わるものではありません。[1][2]
架空のA社株をSBI証券の特定預りで300株持ち、そのうち100株だけ他社へ移したい場面を考えます。この条件では100株の部分移管はできません。移管するなら同じ銘柄の300株全部が対象です。これは制度を理解するための例で、300株を移すことや売却を勧めるものではありません。
NISA預りの株は、そのまま他社のNISA口座へ出庫できません。SBI証券の案内では、出庫を希望する場合は先に電話で課税口座への払い出しを依頼する必要があり、払い出し日の価格が取得単価になります。非課税での保有を続けたい方は、この変更の意味を確認せず書類を出さないでください。翌年のNISA金融機関変更と、保有株の他社移管も別の手続きです。[2]
書類を取り寄せる前に、送り先と保有状況を照合する
確認の入口は、いつも使うSBI証券の公式サイトです。ログイン後の保有証券一覧で、銘柄・株数・特定または一般などの預り区分を控えます。次に移管先で、口座の開設完了、登録名義と住所、受入可能な銘柄や単元未満株の取扱いを確認します。住所が食い違うと移管できない場合があります。[1]
書類は「ホーム」から「サービス」「各種ご案内」「移管(入庫・出庫)・CB権利行使」「移管出庫・国内株式」へ進み、株式移管出庫サービスの案内で請求またはセルフ印刷を選びます。特定預りと一般預りでは書式が違います。画面が更新されて見つからないときは、公式FAQの案内から確認し、別の商品用紙で代用しないようにしましょう。[2]
特定預りの300株を移す仮の作業なら、送付前メモに「A社・300株・特定預り」「移管先の特定口座」「両社の同一名義・住所確認済み」を並べます。書面の記入内容と保有株数が一致するかを読み合わせ、控えを残してから提出します。本人確認や署名等の要件は、実際に取り寄せた書類に従ってください。[1][2]
書類返送後は、売買と完了の判断に注意する
約1週間は必要書類受理後の目安。不備や停止期間などで延びる場合があります。
SBI証券の案内では、依頼書返送後の取消や対象銘柄の売却注文は受け付けられません。売り注文が出ている、数量が足りない、買付の受渡しが未清算といった場合も受け付けられません。特定預りでは完了までに同銘柄を取引すると手続きが中止されるため、追加買付も含めて先に予定を整理します。[1]
貸株に出している株は、出庫書類を送る前に返却手続きを確認します。信用取引の保証金に使っている株や、証券担保ローンに関係する株には別の制限もあります。通常の現物保有と同じつもりで進めず、該当する場合はSBI証券へ確認してください。[1]
所要期間の目安は、SBI証券が必要書類を受理してから約1週間です。書類をポストに入れた日からの確約ではなく、不備返却や月末・年末年始の停止期間なども考慮します。期限のある手続きに使う場合は、先に両社へ日程を相談しましょう。[1][2]
出庫作業中にSBI証券の残高画面から銘柄が消えても、それだけでは完了ではありません。確認の完了は、移管先の口座残高に同じ銘柄・株数・予定した預り区分が反映し、控えと照合できた状態です。反映が不明なら、控えと確認日を用意して両社へ問い合わせ、同じ依頼を重ねて出さないでください。[1]
無料の範囲を確認し、まず一銘柄の準備メモを作る
SBI証券では、同一名義間の国内株式の移管出庫手数料は無料です。ただし、移管先で費用が生じる場合があるため、両社の条件を確認します。投資信託の出庫など別商品まで一律無料と考えないことも大切です。[1][3]
今日することは、移したい一銘柄について「株数・預り区分・移管先の受入可否・近い売買予定」を一枚に書くことです。特定預りの一部だけを移したい、NISAの非課税保有を続けたいなど、希望と条件が合わなければ、その段階で立ち止まれます。口座を減らすことより、自分の保有状況を説明できることを先に目指しましょう。
よくある質問
S株も他社へ移せますか?
SBI証券の出庫対象には単元未満株も含まれます。ただし、移管先に単元未満株の取扱いがあるかを先に確認してください。通常の100株単位と同じように受け入れられるとは限りません。[1]
移管明細は、後からどこで確かめられますか?
SBI証券は原則3か月ごとの取引残高報告書での確認を案内しています。書類の控えも郵送前に自分で保存します。すぐ売買したい事情がある場合は、報告書を待つだけでなく移管先の反映状態を確認してください。[1]
