まずは保険料を実際に負担した人を確かめる
本人が全額負担した一時金の確認用です。一部負担や年金受取は別に確認します。
死亡保険金にかかる税金は、亡くなった人(被保険者)、保険料を負担した人、受取人の組み合わせで変わります。契約者の名義だけで決めず、実際に誰が保険料を払ったかを確認するのが出発点です。[1]
亡くなった本人が保険料を全額負担し、家族が受け取るケースは相続税の対象です。一方、受取人自身が保険料を負担していれば所得税、被保険者・負担者・受取人がそれぞれ別なら贈与税の対象になる組み合わせがあります。以下の500万円の枠を、どの契約にもそのまま当てはめないでください。[1]
一部だけ本人が負担した場合や、年金形式で受け取る場合は、この一時金の例を使って自己完結させず、支払記録と受取方法を税務署や税理士に確認します。[1][2]
500万円を掛けてできるのは、家族で使う一つの枠
亡くなった人が保険料を負担した死亡保険金を相続人が受け取る場合、非課税限度額は500万円×法定相続人の数です。相続人以外が受け取った保険金には、この非課税は適用されません。[2]
劇場で、家族3人分の共通チケットを一束で受け取る場面を想像してください。束の大きさを決める人数が法定相続人の数、束を誰にどれだけ割り当てるかが保険金の受取割合に対応します。受付へ来た人が1人だからといって、家族3人分の束が1人分になるわけではありません。
ただし本物のチケットのように、非課税枠を好きな人へ自由に渡せるわけではありません。税務上の枠は条件に合う相続人の受取額に応じて配分します。家族共通という例えは、人数と配分を別に考えるためのものです。[2]
たとえば法定相続人が配偶者と子2人の3人なら、共通枠は1,500万円。同じ前提で配偶者だけが1,500万円を受け取り、他の相続人は保険金を受け取らないなら、配偶者にこの枠が配分されます。「配偶者は1人だから500万円まで」と固定しないことがポイントです。[2]
1,800万円を分けて受け取ったら、枠も割合で分ける
保険金1,800万円を900・600・300万円で受け取る仮定例。対象額は相続税額ではありません。
ここからは仮定の家族例です。法定相続人は配偶者と子2人の3人、全員が相続放棄をせず相続人として受け取り、養子はおらず、亡くなった本人が保険料を全額負担したとします。死亡保険金の合計1,800万円を、配偶者900万円、子A600万円、子B300万円で一時金として受け取ります。
共通の非課税枠は500万円×3人=1,500万円。各人の枠は、1,500万円×その人の受取額÷相続人が受け取った合計1,800万円です。配偶者は750万円、子Aは500万円、子Bは250万円になります。[2]
受取額からそれぞれの枠を引くと、配偶者150万円、子A100万円、子B50万円。合計300万円が相続税の計算に加える死亡保険金の額です。300万円が税額ではありません。他の財産や債務、相続税の基礎控除などを含めた計算は別に必要です。[2]
ここまでメモできると、「保険金900万円の人だけ負担が大きいのかな」という印象から、受取割合に沿って枠が配分される仕組みへ理解を進められます。保険の増額や受取人変更を決める前の確認に使ってください。
| 相続人 | 受取額 | 配分される枠 | 計算に加える額 |
|---|---|---|---|
| 配偶者 | 900万円 | 750万円 | 150万円 |
| 子A | 600万円 | 500万円 | 100万円 |
| 子B | 300万円 | 250万円 | 50万円 |
| 合計 | 1,800万円 | 1,500万円 | 300万円 |
放棄した人を数えることと、その人への非課税は別
国税庁の説明では、枠を計算する法定相続人の数は、相続放棄があっても放棄がなかったものとして数えます。一方、放棄した人が受け取る死亡保険金には、相続人としての非課税は適用されません。人数の計算と受取人の適用条件を、一緒にしないでください。[2]
養子がいる場合は、枠の人数に算入できる養子の数に制限があります。実子がいる場合は原則1人、実子がいない場合は原則2人まで。実子と扱う養子などの例外もあるため、家族の関係を確認し、国税庁の詳しい条件で判断します。[3]
同居している人数や保険証券に名前がある人数を、そのまま法定相続人数に置き換えるのは避けましょう。家族の形が複雑なときほど、先に条件の確認が必要です。
今日は保険証券と支払記録を、一枚のメモにする
今日の作業は、保険証券と保険料の支払記録を出し、「被保険者・実際の負担者・受取人・一時金か年金か・法定相続人数・各人の受取予定額」を一枚に書くことです。不明な欄は推測で埋めず、保険会社と税務の相談先へ確認します。
条件が先ほどの例に合うなら、家族共通枠を計算し、受取額の割合で配分します。最後に各人の枠の合計が共通枠と、各人の対象額の合計が保険金合計から共通枠を引いた額と一致するか照合しましょう。保険金合計が枠以下なら、対象となる相続人が受け取った保険金はこの非課税の範囲内です。[2]
保険を増やせば必ず得、という話ではありません。家族が必要とする保障と、今の家計で払える保険料を確認し、そのうえで税金の条件を整理する。順番をそろえると、数字だけに振り回されにくくなります。
よくある質問
保険会社を分けて契約すれば、非課税枠も契約ごとに増えますか?
この非課税限度額は、相続人が受け取った対象の死亡保険金の合計に対する枠です。契約数や保険会社の数で500万円の枠が増えるわけではありません。複数契約なら受取額を一覧にして合計します。[2]
